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千葉氏 対談

CONVERSATION

千葉市の起源 千葉氏を語る
千葉市の起源千葉氏を語る

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山本 陽徳さん× 千葉 滋胤さん× 広瀬 正一さん

千葉市の起源千葉氏を語る

千葉市の起源
千葉氏を語る

千葉市の起源千葉氏を語る

千葉開府890年を迎えた千葉市。
その礎を築いた「千葉氏」にまつわる方々にお話を伺いました。

千葉滋胤さん(以下千葉さん) 千葉の祖である平良文から数えて42代目の千葉です。千葉氏には600年の歴史があり、千葉宗家、小城千葉氏、奥州千葉氏、郡上東氏、奥州相馬氏など全国各地に広がっています。特に源頼朝が平泉へ北上した際、常胤が全勢力で東北へ向かったため、東北地方には千葉氏の子孫の方々が多いんです。2016年に開催された「千葉氏サミット」では、岩手、宮城、福島、岐阜、佐賀、そして千葉から11都市の代表が集まり、歴史的に意義のある会だったと思います。

山本陽徳さん(以下山本さん) 私は千葉神社で禰宜(ねぎ)のお役目を頂いています。お祀りしているのは、千葉家代々の守護神である妙見様。

妙見本宮千葉神社 禰宜 山本 陽徳さん
▲妙見本宮千葉神社 禰宜 山本 陽徳さん
千葉市では開府890年にあたる平成28年に記念の広報活動を展開。ラッピングされた千葉モノレールを見た方も多いのでは

千葉市では開府890年にあたる平成28年に記念の広報活動を展開。ラッピングされた千葉モノレールを見た方も多いのでは

千葉市では開府890年にあたる平成28年に記念の広報活動を展開。ラッピングされた千葉モノレールを見た方も多いのでは

千葉氏の惣領であった七代目千葉常重公が亥鼻城での定住を決めた際、城の北にあった北斗山金剛授寺(現千葉神社)に御本霊を御遷座したのが始まりです。毎年8月に開催している「妙見大祭」は昨年で890回目を迎えました。始まりから一度も途切れずに続けられており、千葉の人々と深いつながりがあります。

広瀬正一さん(以下広瀬さん) 観光協会でまち歩きのボランティアガイドをしている広瀬です。昨年の開府890年では、常胤の誕生日である5月24日(実施日28日)、千葉開府の日である6月1日、千葉県誕生の日である6月15日の3日間で「歩いて知ろう 千葉のまちの始まり」のガイドに携わりました。開府890年の告知をしていたためか、参加者の歴史的関心が高まっていると感じています。

生き方、地理、歴史から学ぶべきもの

広瀬さん 千葉一族の生き方には現代の私たちが学ぶべきところがあるように思います。千葉常胤は、平清盛と同じ年に生まれ、しかも桓武天皇という同じルーツを持っている。「平家にあらずんば人にあらず」と栄華を極めた清盛ですが、最終的に一族が永らえるのは常胤の方。まだ勉強中ですが、その理由を学び、想像するのはとても魅力的です。

山本さん そうですね。今でも「千葉」を名乗る方々や、月星の紋を家紋にしている方々が大勢いますし、私も含め千葉に暮らす人々が「千葉氏」のルーツを顧みるのは大切だと思います。市内には「お茶の水」や「羽衣の松」「郷土博物館」などの史跡、千葉神社では妙見大祭もあります。まずは勉強と構えず、史跡を訪れたり、祭りに参加したりして歴史を身近に感じて欲しいと思います。

千葉氏サミット実行委員会 委員長 千葉 滋胤さん
▲千葉氏サミット実行委員会 委員長 千葉 滋胤さん
千葉神社にはいたるところに妙見信仰の流れを汲む月星紋が見られる
▲千葉神社にはいたるところに妙見信仰の流れを汲む月星紋が見られる

千葉さん 武士の物語も面白いですが、地理の視点でも歴史は楽しめます。例えば、千葉県には「白浜」や「勝浦」など和歌山県と同じ地名があります。当時の人々が紀伊半島と房総半島の間を渡航したからではないかと考えられます。また、千葉県では北に「下総(しもうさ)」、南に「上総(かずさ)」があります。当時は京都に近いほど「上」。陸路では北の方が京都に近いのですが、房総半島への移動は海路が主だったため、南が「上」になったと考えることもできます。同じ人間ですから、考えていることは今も昔もそう変わらないはず。長い時を超えて様々なことが関連づいていくのは非常に興味深く、面白いことです。

ルーツである千葉氏を
たくさんの人に知って欲しい

山本さん 千葉神社にマンガ『千葉常胤公ものがたり』を置いていますが、よく読まれています。専門的な歴史書より敷居が低く、読みやすさがうけていると思います。開府900年へ向けたこれからの10年も、地道に広報活動を続け、千葉市へ新たに越してくる方々や、子どもたちにもそのルーツを知ってもらい、“地域の誇り”として根付いていくことを願います。神社でも歴史の無料公開講座などを開催して、継続的に発信していくつもりです。

広瀬さん あのマンガは好評ですよね(笑)。私も『千葉常胤公ものがたり』を教材とした講座を毎年開講して、千葉一族の歴史をさらに多くの方々へ広めていきたい。また、ガイドツアーの参加者がもっと分かりやすく楽しめる様に、千葉氏関連の史跡の整備やもっと視覚的に訴えられる企画など、出来ることからやっていこうと思います。

千葉市観光協会 ちばシティガイド 広瀬 正一さん
▲千葉市観光協会 ちばシティガイド 広瀬 正一さん

千葉さん 千葉氏は時代とともに生き、それぞれの時代のニーズに合わせられたからこそ600年という長い間、繁栄できたのだと思います。これから迎える開府900年というのも一つの節目ですから、今ここに住む我々が、その繁栄の歴史を振り返る良い機会だと思います。
(平成28年12月対談。役職は対談担当のもの)

用語解説

❶ 妙見大祭
8月16日の初日から22日の最終日まで、妙見信仰の北斗七星に因み7日間行われる。期間中に一言願掛けすれば叶うという言い伝えから「一言妙見大祭」とも呼ばれる。
❷ 千葉開府の日
平安時代後期である、大治元年(1126年)の6月1日に千葉常重が中央区亥鼻付近に本拠地を移し、この後「千葉」と名乗った。
❸ 郷土博物館
千葉氏の居城との伝承が残る亥鼻城跡にある博物館。千葉氏に関する資料等を展示。

043-222-8231

中央区亥鼻1-6-1

マメ知識

毎年8月に開催されている「千葉の親子三代夏祭り」。実はこのお祭り、開府850年を機にスタートしたんです。平成28年には第41回目が開催され、参加者30万人を超える一大イベントに。千葉氏の始まりも「常重→常胤→千葉六党」の親子三代。千葉氏同様、末永く盛り立てていきたいお祭りですね!

※掲載している情報は2018年1月31日時点の内容です。
※千葉市都市アイデンティティ発信観光ガイド 『千葉市がもっと「好き♥」になる本』発行:千葉市 企画・千葉市観光プロモーモーション課 編集・制作:株式会社オニオン新聞社)より転載。

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